地域活性化しんきん運動・優秀賞
盛岡信用金庫(岩手県) 療養児への本寄贈プロジェクトに参画
盛岡信用金庫は2021年1月、岩手県盛岡市、滝沢市、矢巾町、FVCTohoku株式会社(現ミライドア Tohoku株式会社)との共同出資により「もりおかSDGs投資事業有限責任組合(もりおかSDGsファンド)」(以下「同ファンド」)を設立した(のちに紫波町が加入)。SDGs(持続可能な開発目標)に基づく17のゴールの達成及び社会課題解決に寄与する起業者や事業者への資金供給と経営支援を目的としていて、ファンド総額は1億9,900万円。設立から2025年3月末までの投資実績は18社1億4,104万円となっている。
同ファンドの第1号投資先である株式会社盛岡書房(以下「同社」)は、古本のリユースや本に関連したイベントを手掛け、本の好循環を生み出している。同社は2021年8月、「象と花プロジェクト」をスタート。読み終えた本をクリーニングして再生し、インターネットで販売。その売り上げを原資に新本を購入し、小児がんや慢性疾患で長期入院する子供たちに寄贈している。
同金庫は同社の理念に賛同し、2021年6月より同金庫役職員から古本の寄付を募る活動を開始。同年8月からはプロジェクトのメインパートナーとして全23営業店に「古本回収(寄付)ボックス」を設置し、お客様をはじめ同金庫役職員から古本の寄付を募っている。2021年8月から2025年3月までに計28,545冊の寄付を受け付けた。2021年10月には、岩手医科大学附属病院に入院する子供たちへ新本53冊を寄贈。2025年3月までに計302冊の新本を寄贈している。
同金庫と同社は、2022年2月に岩手県遠野市の図書館「こども本の森遠野」と連携した新プロジェクトを開始。図書館の棚から入れ替える本や同金庫遠野支店の「古本回収(寄付)ボックス」に寄せられた古本の査定額を基に、販売した代金の一部を図書館の運営費として循環させる取り組みで、2022年2月から2025年3月までに書籍など計6,059冊の寄付を受け付けた。
同金庫では、今後も直接金融による支援と併せて事業のサポートにも関わる姿勢を大切にして、「地域経済」「地域社会」「地域環境」の側面から持続可能な社会の実現を目指す。
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同金庫と盛岡書房は2022年2月、図書館「こども本の森遠野」と協定を結んだ

北伊勢上野信用金庫(三重県) 馬野川小水力発電所 復活プロジェクト
馬野(ばの)川小水力発電復活プロジェクト事業(以下「同事業」)は、大正から昭和初期に活躍し1958年に廃止された伊賀山中の水力発電所を、株式会社マツザキ(以下「マツザキ」)、地域協議会、三重大学(以下「大学」)の三者により復活させ、産出したエネルギーを地域に還元するため2013年にスタートした。2019年に建設工事を完了し、最大出力199㌗、一般家庭260戸に相当する年間発電出力95万㌗の「馬野川小水力発電所」(以下「発電所」)が竣工した。
北伊勢上野信用金庫は取引先であったマツザキとの縁で、事業性評価の段階から産学連携活動の一環として関わり、マツザキと大学との共同研究をコーディネートする役割を果たしてきた。また、新エネルギー等共通基盤整備促進事業、ものづくり・商品・サービス革新補助金などの申請支援をしたほか、同金庫と日本政策金融公庫で協調融資を実施した。
さらに同金庫は、住民の共感や合意を獲得することにも尽力し、地域の方々への説明会参加や現地調査の同行、視察を行った。河川の調査や設計などを開始すると、一級河川である馬野川の水利権問題や河川環境問題などいくつもの難局に直面したが、2014年に発足した地域協議会活動で賛同を得ており、人々の支援により乗り越えることができた。
大学協力のもと導水管には理想的なパイプの形状を採用したことや、水車の故障の原因となる水撃現象の発生を抑制する工法を確立し特許を取得したことも成果として挙げられる。発電した電気は中部電力パワーグリッド株式会社を介して株式会社UPDATERへ融通し、同社を通して小売りされている。発電所近くにある同金庫山田支店では水力発電の電気を使用している。
発電所は旧発電所の取水口や導水路を再利用し、約76㍍の落差を利用し水車を回しており、再生エネルギーに関する観光スポットにもなると地域おこしの観点からも期待されている。また、生態系への影響などを専門家の協力のもと継続調査したところ、国の特別天然記念物オオサンショウウオの繁殖も確認でき、流域の環境保全も成功している。同事業を通じて実現したエネルギーの地産地消がこの地域の活性化につながるものと考える。
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上空から捉えた「導水管」。
水が管を通じて急斜面を流れ落ち、水車を回し発電する

